校長よりご挨拶
聖ウルスラ学院英智のWell-being
校 長 伊藤 宣子
教育は、「人格の完成を目指す」という普遍的な目的を持つ一方で、時代によって、教育の果たすべき役割や具体的な目標は変化してきました。
昨今、改めて注目されるwell-beingは、身体的・精神的・社会的に満たされた幸福な状態(健やかさ)を意味とする概念であり、瞬間的な幸せを表すHappinessにくらべて持続的な幸せを意味するものです。また、経済協力開発機構OECDは、Well-beingを、「生徒が幸福で充実した人生を送るために必要な、心理的、認知的、社会的、身体的な働きと潜在能力である」と定義しています*。
つまり、教育は、「子どもたち一人ひとりと社会全体が、現在から将来にわたり幸せで満ち足りた状態になる」ために、子どもたちの潜在能力を引き出してそれを発揮させ、子ども達が自己実現と社会貢献を果たしていくために取り組んでいく、生徒の「学び」を共に創造していくことになります。
本学院創立者の思いもここにあります。(「平和の種を播き、平和を育む人の育成」)
様々な“負”の状況が深刻化する現在の地球社会において、教育に携わる私たちは、人類Homosapiensとして、まさに「知性」「理性」を駆使し、Well-beingの第一歩を生徒と共に歩み、「学んで良かった」「学んだことを使った結果、他の人の役に立てた」と実感する経験を積んでいます。わたくしたちウルスラ英智の教職員は、そのような教育活動を、ご家庭や地域社会の皆様と共に、絶えず探求し続けています。
持続可能でより良い世界を目指すための国際目標として掲げられているSDGsの3つめが「すべての人に健康と福祉を」です。地球規模の課題に対処しなければ一人ひとりの幸せもありません。そうした課題に立ち向かう生徒の皆さんの志を、情熱をもって支えながら、保護者の皆様と共に生徒たちを育んでまいりたいと願っています。
*OECD生徒の学習到達度調査(PISA)2015年調査の国際結果報告書