読書の夏休み

2022.08.10

8月ですね。夏休みに入って、一週間が経過しました。
夏休みは、まとまって時間をとりやすい期間ですので、読書にとても向いています。
毎年恒例の読書感想文コンクールに挑戦する子どもたちもいることでしょう。
今回のブログでは、せっかくですので、その「読書」について触れたいと思います。

本校は「ことば」を大切にしており、その一部として、1年生から9年生まで「言語技術」という科目を設定しています。
この科目では、ことばを使いながら、論理的に考える力や、物事を分析的に見る力など、生徒たちは様々な力をつけていきます。
言語技術のカリキュラムの中には、クラスで同じ本を読んで「アニマシオン」と呼ばれるゲームをしたり、本の内容を分析をして解釈したりといった学習もあります。
絵本、児童書、短編小説、文庫本、ハードカバー、様々な形態の物語に取り組みます。

実はこの夏休みも、多くの学年で読書課題が宿題として課されていますので、それを紹介したいと思います。
(著作権の関係により、伝わりにくいですが文字だけでお伝えします!)

・5年生 宮沢賢治「風の又三郎」
 宮沢賢治の短編集です。
 夏休み明けは、「セロ弾きのゴーシュ」を分析するなどして、宮沢賢治の世界に迫っていきます。

・6年生 R・J・パラシオ「ワンダー」
 遺伝子疾患により、生まれつき風変わりな外見を持つ少年が主人公の話です。
 数年前に読書感想文の課題図書にも選ばれていましたね。
 内容がとても興味深く、子どもたちもどんどん引き込まれて読んでしまいます。
 ハードカバーで厚い本ですが、夏休み明けにしっかり分析します!

・7年生(今年度入校生) 湯本香樹実「夏の庭」
 3人の少年が、「人が死ぬところを見たい」と言って近所の独居老人を観察し始め、次第に交流していく話です。
 少年たちの夏休みが、細やかな心理描写と共に色鮮やかに描かれています。
 夏休み明けはアニマシオン、丸本分析と行っていきます。

・7年生(内部進級生) 宮沢賢治「銀河鉄道の夜」
 読めば読むほど難解に感じてしまう作品、「銀河鉄道の夜」です。
 5年生の課題よりも、より深く考察していきます。

・Type2 8年生 ルイス・サッカー「穴」
 無実の罪で更生施設に送られた青年が、仲間とともに苦難を乗り越えていく話です。
 作中にちりばめられた謎が明らかになっていくのが痛快で、生徒たちからの人気も高い作品です。
 夏休み明けの授業もきっと盛り上がることでしょう。

・Type1 9年生 グードルン・パウゼヴァング「みえない雲」
 原子力発電所の事故と、その後の少年少女の生き方を描く社会派な一冊です。
 1986年に起こったチェルノブイリ原子力発電所の事故を受けて書かれた本作は、さながらノンフィクションのように読めてしまいます。
 授業ではアニマシオン、分析を経て、劇場版との比較分析も行います。

・Type2 9年生 アヴィ「星条旗よ永遠なれ」
 クラスできまりを破って国歌を歌った少年と、その指導をした教員とのトラブルが、全米を巻き込む騒動に発展していく話です。
 地の文がなく、セリフや日記、連絡文書などで話が進行していくのが特徴です。
 20年以上前に書かれた本ですが、現代にも通じる問題提起がなされています。

4年生以上では、年間でだいたい3~4冊、アニマシオンや分析を行います。
1~3年生でも、アニマシオンを年間何冊も行います。

今、このブログ記事を書いている教員の理想とする授業は、「昨日みんな同じテレビ番組を見た」かのように、クラスで一冊の本について語り合える授業です。
本を読むのは体力も時間も必要ですが、ぜひこの授業を通して、様々な世界に触れてほしいと思います。

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本校の図書館、メディアセンターです。
夏休みで子どもたちがいないので、なんだか少し寂しげですね。
子どもたちが登校してくるのを、メディアセンターも待っていますよ!